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立命館守山中学校・高等学校教諭

川辺純子先生

 

 文字が生まれたのは遙か昔のこと、5500年前の古代メソポタミア文明においてはタブレットと呼ばれる粘土板にくさび型文字が刻まれ、3500 年前の古代中国では神と交信するために亀の甲羅や牛の骨に甲骨文字が刻まれました。文字を刻む、言葉を綴る、文章を書く・・・これらのことは人類にたくさんの恩恵を与えました。まず自分が思ったり考えたりしたことを、目に見える形にすることが出来ました。これにより近くにいる人とも、遠くにいる人とも、時には自分よりはるか後の時代を生きる人とも、自分の思いや考えを共有して繋がることが出来るようになりました。「火」の発明が人類を寒さから解放したように、「文字」の発明は人類を孤独から解放したのです。

 

 現代を生きる私たちも「文字」を使って文章を作ります。学生であれば友だち同士でSNSのやりとりをしたり、学校に提出するレポートを作成したりします。社会人になれば、より正確な文章を社会に向けて発信することが求められます。新聞記者は自分が取材した内容を出来るだけ分かりやすく伝えるために記事を書き、電機メーカーに勤める人は自分たちが作った電化製品を便利に使ってもらうために取扱説明書を作ります。社会で仕事をして生きていくことが人と繋がることである以上、私たちにとって「文章を書くこと」は欠かせないことなのです。

 

 ところが「文章を書くこと」は意外と難しいものです。まず形のない自分の思いや考えにぴったりな言葉を見つけなければなりません。そしてそれを文字にし、意味が通るように文法でつないでいかなければなりません。誰かに何かを伝えるために文章を書こうと思えば、注意することや考えることが格段に増えます。この漢字は間違っていないだろうか、文法はこれで正しいか、この表現で自分の言いたいことが相手に伝わるのか、構成はこれが適当だろうか・・・。とても頭を使う作業です。時には何度も書き直さなければならないかもしれません。「文章を書くこと」は回数を重ねなければ上達しないものなのです。

 

 「いずれは君たちも社会に向けて文章を発信する立場になる。」そう言われても、多くの時間を学校や家庭で過ごす学生の皆さんには実感がないかもしれません。でも周りを見渡してみてください。スマホの画面に流れてくるニュース、電車の中の吊り広告、ふと手に取った文庫本。あちらこちらに様々な文章があることに気づくことでしょう。そこに込められた「伝えたい」「繋がりたい」という祈るような思いは、粘土板のタブレットに文字を刻んでいた遙か昔も、電子版のタブレットに文字を打ち込んでいる現代も何ら変わりません。「文章を書くこと」、それは我々人類に脈々と伝わってきた「文字」というコミュニケーションツールの使い手になるということです。そして皆さんが社会に参加し、人類の歴史にその存在を刻むことです。将来皆さんの書く文章が、空間を超えて遠くの誰かの心を強く揺らしたり、時間を超えて後の世代に新しいアイデアを与えたりすることを楽しみにしながら、私は今日も皆さんの作文に向き合うのです。

<川辺先生略歴>

1970年生まれ。兵庫県出身。

関西学院大学卒。専門科目:中高国語。

現在は白川漢字教育の実践と研究を行う。

発刊物:成り立ちとつながりで学ぶ漢字シート35

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