1年くらい前に描いたスケッチの一部です。葉っぱの青々とした様子に目がとまり、
「このいきいきした色を忘れないよう残しておきたい」と思ったのを覚えています。
私は絵を描くことが好きです。大学でも、絵の勉強をしていました。
絵は、自分が感じた色や形を組み合わせることで、伝えたいことを表現できます。そうやって絵を描くことで、私が心動かされた景色を誰かに共有できることが、とても幸せでした。
もちろん、絵を見ることも好きです。
「この人は、色の組み合わせを美しく感じているんだな」
「私なら見逃してしまいそうな風景だけど、こんなに魅力的に描くこともできるのか」
その人の好きなものや表現したかったこと、ものの見え方、考え方…絵を見ていると、描き手が絵に込めたいろいろな思いを感じ取れる瞬間があります。
大学の卒業制作では、モチーフにくすのきを選びました。公園を散策していて見つけた木です。
とにかく巨大で、木の下にいると、身体全体を包み込まれているような安心感があります。どっしりした幹は生命力と存在感でいっぱい
ですが、木を見上げたときに葉っぱの隙間から見える太陽の光はとても繊細で、そのあたたかい空気感に一目惚れしました。
完成した絵を見て、「光のあったかい感じがする」と言ってくれた人がいます。
あのくすのきを見たときに感じた魅力を、絵の中でもそのまま表現したい。そんな思いで描いていたので、「私は自分の感じたことを、ちゃんと表現できていたんだ」と、とても清々しい気持ちになりました。
何かに触れて自分の心が動いたとき、「伝えたい、表現したい」という気持ちがうまれるのだと思います。
美しいものをみた、楽しいことがあった、あるいは悲しいことがおきた…心が動くといっても、いろいろな場面があるはずです。
私の場合は絵でしたが、楽器を演奏することで、歌ったり踊ったりすることで、話してみることで…人によって、その表現方法はさまざまだと思います。色の組み合わせや筆の使い方といった工夫は、文章であれば、言葉選びや文体に託すことができますよね。
「伝える」ことについて考えるきっかけとして、まず、自分はどういったことに心を動かされてきたのか、いろいろ思い返してみると楽しいかもしれません。